食いしばり・歯ぎしり ツボ|顎の緊張をゆるめる5つの経穴と押し方|長丘はりきゅう整骨院
以下のうち1つでも当てはまる場合は、ツボを押す前に歯科・口腔外科を受診してください。顎関節そのものに問題が起きている可能性があります。
- 口が急に開かなくなった・閉じなくなった(顎が外れたような感覚がある)
- 指2本(人差し指と中指を並べた幅)も入らないほど口が開かない
- 顎を動かすと激しい痛みで会話・食事が困難
- 顎の音と強い痛みが同時に続いている
- 歯がすり減っている・欠けた・冷たいものがしみる——歯ぎしりによる摩耗の可能性
- 朝起きたときに顎や歯がだるい・こめかみが張っている日が多い——睡眠中の歯ぎしりの可能性
- 顎を動かすと「ジャリジャリ・ゴリゴリ」という音がする(痛みを伴わなくても)
ナイトガード(マウスピース)は歯型を取ってオーダーメイドで作る歯科の領域です。市販品を自己判断で長期間使い続けるより、まず歯科で噛み合わせを評価してもらうことをお勧めします。このページのツボ押しは、歯科での対応と並行する補助的なセルフケアとしてお使いください。
【このページについて】食いしばり・歯ぎしりは、日中の無意識の噛みしめ(覚醒時ブラキシズム)と就寝中の歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム)の2つに分けて考えると対処しやすくなります。東洋医学で顎まわりの緊張に伝統的に用いられてきた5つの経穴を、日中に気づいた瞬間に使うもの・就寝前のルーティンで使うものに分けて、位置の探し方・押し方・秒数・回数の実数つきで解説します。
ツボ押しは医療行為ではなく、歯科的な原因や顎関節そのものの異常を除外したうえでの補助的なセルフケアです。上記の受診サインがある場合は、ツボ押しより先に歯科・口腔外科へご相談ください。
Shenらの無作為化比較試験(J Orofac Pain, 2009)では、慢性的な咀嚼筋の痛みを持つ28名を対象に、合谷(LI4)への鍼治療と偽鍼を比較したところ、鍼治療群で顎の痛み・顎/顔のこわばり・首の痛みが有意に軽減しました(いずれもP=.04)(PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19888488/)。また、Choらのシステマティックレビュー(J Orofac Pain, 2010)では19件のRCTを検討し、鍼治療が偽治療・スプリント療法・物理療法と比べて顎関節症の症状軽減に中等度のエビデンスがあると報告しています(PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20401353/)。ただし前者は単回施術・28名という小規模な試験であり、いずれも長期の効果を保証するものではありません。ツボ押しは「伝統的に用いられてきた」セルフケアの範囲としてご理解のうえお読みください。
日中型と夜間型——気づく瞬間が違う2つのタイプ
食いしばり・歯ぎしりは、いつ起きているかで対処の仕方が変わります。「日中型(覚醒時ブラキシズム)」は集中しているときに無意識に歯を噛み合わせてしまう癖で、「夜間型(睡眠時ブラキシズム)」は眠っている間に歯をこすり合わせる動きです。同じ人が両方を併せ持つことも珍しくありません。
日中型——「あ、また噛みしめてる」に気づくタイプ
- デスクワーク・スマホ操作・車の運転中・集中作業中に多い
- 自分では気づきにくく、周囲から指摘されて初めて自覚することが多い
- 気づいた瞬間にその場でゆるめるセルフケアが向いている
夜間型——朝の顎のだるさで気づくタイプ
- 睡眠中の無意識の動きのため、自分でコントロールすることは難しい
- 朝起きたときの顎のだるさ・こめかみの張り・歯の摩耗で気づくことが多い
- 就寝前に咬筋・こめかみの緊張をゆるめておくルーティンが向いている
まず前述の受診サインに当てはまらないかを確認したうえで、以下のツボを場面に合わせてお試しください。
日中に「あ、また食いしばってた」と気づいた瞬間に使う3つの経穴
🔴 場面:デスクで/信号待ちで/スマホ操作中に集中しているときほど噛みしめに気づきにくいものです。ふと気づいた瞬間に、その場で手早く行える3つの経穴を紹介します。
頬車は「胃経」に属し、咬筋の真上にあることから東洋医学では顎の緊張・噛みしめ・頬のこわばりに伝統的に用いられてきたツボです。噛みしめに気づいたらまず奥歯を離し、そのうえでこのツボをほぐすと咬筋の力みが取れやすくなります。
- 奥歯を軽く離し、上下の歯が触れない状態にする。
- 人差し指・中指の腹を左右の頬車に当てる。
- 力を抜きながら、小さな円を描くように優しくほぐす。
- ゆっくり離す。
下関は「胃経」に属し、顎関節のすぐそばにあることから東洋医学では顎関節部の張り・開口時の違和感に伝統的に用いられてきたツボです。顎関節そのものに近い位置のため、頬車より弱めの圧で押します。
- 口を軽く閉じた状態で、人差し指の腹を左右の下関に当てる。
- 骨に向かって垂直に、ゆっくりと弱めの圧をかける。
- 「じわっとした圧迫感」が出る程度で止める。
- ゆっくり離す。
合谷は「大腸経」の要穴で、顔面部への広い効果があるとされ、東洋医学では古くから顎・歯・顔の痛みやこわばりに用いられてきたツボです。顎から離れた手のツボのため、デスクで手を止められないときや人前でも目立たず行えます。反対の親指で骨のキワに押し込むように刺激します。
- 片方の手を軽く開き、反対の親指を骨の分岐点に当てる。
- 人差し指の骨のキワに沿って、やや強めに押し込む。
- 「じんとした響き」が指先まで広がる強さを目安にする。
- ゆっくり離す。反対側も同様に行う。
就寝前のルーティンで使う2つの経穴
🌙 場面:寝る前、布団に入る前の数分間に夜間の歯ぎしりそのものはツボ押しでコントロールできませんが、就寝前に咬筋・こめかみの緊張をゆるめておくことで、力みを抱えたまま眠りに入ることを防ぎやすくなります。
翳風は「三焦経」に属し、耳たぶの後ろ・顎の骨の後ろ縁のくぼみにあることから東洋医学では顎まわりの血流・緊張に伝統的に用いられてきたツボです。照明を落とし、就寝前の落ち着いた状態で行うのに向いています。
- 座った、または横になった姿勢で、両手の人差し指の腹を左右の翳風に当てる。
- 下顎骨の後縁に向かって、ゆっくりやさしく押す。
- 「じわっとした圧迫感」を感じる強さで止める。
- ゆっくり離す。
太陽は経絡には属さない経外奇穴(けいがいきけつ)で、こめかみのくぼみにあることから東洋医学では側頭部の張り・眼精疲労と併せて、咬筋とは別の咀嚼筋である側頭筋(こめかみに広がる筋肉)の緊張にも伝統的に用いられてきたツボです。就寝前、目を閉じた状態で優しく行います。
- 目を閉じ、中指の腹を左右の太陽に当てる。
- 強く押さず、小さな円を描くように優しく圧をかける。
- 「こめかみがふっとゆるむ」感覚を目安にする。
- ゆっくり離す。
当院に食いしばり・歯ぎしりのご相談で来院される方は、ご本人が自覚していないケースが多く、ご家族や周囲の方に指摘されて初めて気づく方や、朝起きたときの顎のだるさ・こめかみの張りをきっかけに来院される方が目立ちます。
5つの経穴 一覧表
ここまで紹介した5つのツボの位置・押し方の実数を一覧にまとめました。
| 経穴名 | 位置 | 1回の秒数 | 回数 | 頻度 | 使う場面 |
|---|---|---|---|---|---|
| 頬車(きょうしゃ) | 下顎角の前上方・咬筋の高まり | 8〜10秒 | 3〜5回 | 気づくたび | 日中 |
| 下関(げかん) | 頬骨弓下縁・耳の前のくぼみ | 5秒 | 3回 | 1日2〜3回 | 日中 |
| 合谷(ごうこく) | 手の甲・親指と人差し指の骨の間 | 5〜8秒 | 5回 | 気づくたび | 日中 |
| 翳風(えいふう) | 耳たぶ後ろのくぼみ | 5秒 | 5回 | 就寝前1回 | 夜 |
| 太陽(たいよう) | こめかみのくぼみ | 5秒 | 5回 | 就寝前1回 | 夜 |
やってはいけないこと——中止基準と注意点
- ツボを押した直後に鋭い痛み・しびれが出た 強すぎる刺激、または顎関節そのものの問題の可能性があります。その日は中止し、改善しなければ歯科・口腔外科または当院にご相談ください。
- 口が急に開かなくなった・閉じなくなった ツボ押しを直ちに中止し、前述の🔴受診サインに従って歯科・口腔外科を受診してください。
- 2週間以上毎日続けても顎のだるさ・こめかみの張りが変わらない、または悪化している 歯科的な原因(噛み合わせ・歯ぎしり)や顎関節の状態の精査が必要です。歯科・口腔外科・整骨院・鍼灸院を受診してください。
やってはいけない動作・注意点
- 「本当に噛みしめてるか」を確かめようと強く噛みしめる 確認のための噛みしめ自体が咬筋への負荷になります。噛みしめに気づいたら、確かめずにまず力を抜いてください。
- 下関(顎関節に近いツボ)を痛いほど強く押し込む・長時間圧迫する 顎関節そのものに近い場所です。強い刺激は関節への負担を増やす可能性があります。
- 顎の音を確かめようと自分で口を大きく開閉させる 意図的に大きく開閉を繰り返すことは、顎関節や関節円板に負担をかける可能性があります。
- 開口障害・顎が外れた感覚があるのに自己判断でツボ押しだけで様子を見る 前述の🔴受診サインに当てはまる場合は、ツボ押しより先に歯科・口腔外科を受診してください。
- ナイトガード(マウスピース)を歯科での診断なしに市販品で長期間使い続ける 歯型に合わない器具の長期使用は、かえって噛み合わせのバランスを崩す可能性があります。歯科でのオーダーメイド作製をお勧めします。
食いしばり・歯ぎしりが引き起こす顎関節症の原因や、鍼治療×整体での施術内容、歯科との連携の考え方については、こちらの詳しい解説ページをご覧ください。
顎関節症の原因と鍼灸整骨院での対応を詳しく見る →1. Shen YF, Younger J, Goddard G, Mackey S. "Randomized clinical trial of acupuncture for myofascial pain of the jaw muscles." J Orofac Pain. 2009 Fall;23(4):353-9.
PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19888488/(自己検算:タイトル・筆頭著者 Yf Shen 一致・Expression of Concern / Retraction なし確認済み。合谷=LI4への単回鍼治療で顎の痛み等がP=.04で有意軽減、対照群(偽鍼)は有意差なしと論文内に明記。このページでも同様に記述。)
2. Cho SH, Whang WW. "Acupuncture for temporomandibular disorders: a systematic review." J Orofac Pain. 2010 Spring;24(2):152-62.
PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20401353/(自己検算:タイトル・筆頭著者 Sh Cho 一致・Expression of Concern / Retraction なし確認済み。19件のRCTを検討し、鍼治療は偽治療・スプリント療法・物理療法と比べて中等度のエビデンスがあると論文内に明記。このページでも同様に記述。)
最終更新日:2026年8月13日