本コラムはツボ(経穴)の専門家である当院の鍼灸担当(はり師・きゅう師 国家資格保有)が執筆・監修しています。
【結論】慢性頭痛の患者28名を対象とした2010年のランダム化比較試験では、1か月間のツボ押し(指圧)を受けた群の痛みスコア(VAS)が、筋弛緩薬を服用した群より有意に低くなりました(32.9±26.0 対 55.7±28.7、p=0.047)。しかもこの差は治療終了から6か月後の追跡でも保たれていました(p=0.002)。頭痛による生活の質への影響についても同様の差が示されています。研究で使用頻度が高かった経穴は BL2・GV20(百会)・GB20(風池)・TH21・GB5 でした(Hsieh LL et al., The American Journal of Chinese Medicine, 2010;38(1):1-14. PubMed)。【当院でできること】柔道整復師(国家資格)の院長・河野太朗と、在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)が連携し、頭痛のタイプの見立て・経穴への鍼灸・首肩の深部筋への手技・姿勢の評価を組み合わせて対応します。【受診の目安・警告】「今までで最悪」と感じる突然の激しい頭痛、手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見える、高熱と首のこわばりを伴う頭痛は、くも膜下出血・脳卒中・髄膜炎などの可能性があります。ツボ押しをせず、ただちに救急要請または救急外来を受診してください。
頭痛は身近な症状で、日本の全国調査では緊張型頭痛が約15.6%・片頭痛が約8.4%、合わせて約4人に1人が慢性的な頭痛を持つと報告されています(Sakai F, Igarashi H. Cephalalgia. 1997)。このコラムでは、頭痛に関連する主要なツボ(経穴)6選の正確な位置・押し方・注意点と、緊張型頭痛・片頭痛のタイプ別使い分けを解説します。まず最初に「すぐ受診が必要な危険な頭痛」のサインを確認してください。
⚠️ まず確認:危険な頭痛のサイン
頭痛のほとんどは緊張型や片頭痛などの機能的なものですが、以下のサインがある場合はセルフケアを行わずに直ちに受診してください。
- 突然の激しい頭痛(「生涯最悪の頭痛」「バットで殴られた感覚」)——くも膜下出血の可能性。直ちに救急へ。ツボは押さないでください。
- 発熱+首の後ろが硬直する+激しい頭痛——髄膜炎の可能性。救急対応が必要です。
- ろれつが回らない・手足のしびれ・顔のゆがみ+頭痛——脳卒中の可能性。すぐに救急へ。
- 意識の混濁・ぼんやりする・記憶が飛ぶ+頭痛——脳の疾患が疑われます。救急受診を。
- 視野が欠ける・もの二重に見える+頭痛——眼科的・神経的疾患の可能性。眼科・神経内科へ。
頭痛タイプ別・ツボ押しの使い分け
頭痛のタイプによって、効果的なツボと押し方の強さが異なります。まず自分の頭痛のタイプを確認してください。
特効ツボ6選・位置と押し方
以下の6穴は、頭痛に関連して鍼灸の現場でよく使われる経穴(ツボ)です。位置は文章だけで正確に見つけられるよう、丁寧に説明します。
ツボ押し・セルフケアの基本ルール
- 押す力は「じんわり痛気持ちいい」程度。強ければ強いほど効果が高いわけではありません。
- 1つのツボにつき5〜8秒・3〜5回が目安。長時間押し続けないこと。
- 食後すぐ・入浴直後・飲酒後は避けてください。
- 妊娠中は必ず産婦人科医または鍼灸師に相談してから行ってください。特に合谷は避けてください。
- 片頭痛の急性期(ドクドク痛む最中)は強い刺激を避け、まず安静にしてください。
- 2〜3週間継続しても頭痛の頻度・強さに変化がない場合は、医療機関または鍼灸院を受診してください。
- ツボ押し後に頭痛が悪化した場合は中止し、必要に応じて受診してください。
ツボ押しで改善しない頭痛への次の選択肢
緊張型頭痛のうち、姿勢・筋緊張・自律神経の乱れが根本にある場合は、ツボ押しだけでは深部へのアプローチが難しいことがあります。
当院の鍼灸師(はり師・きゅう師)が担当する鍼治療は、0.16〜0.20mmの細い鍼でツボに直接アプローチするため、指では届かない深部の筋肉(後頸筋群・後頭下筋群)への刺激が可能です。繰り返す緊張型頭痛には、鍼灸という選択肢もご検討ください。
「ツボ押しは試したが効果が感じにくい」「月に何度も頭痛が来る」「薬が効きにくくなってきた」という方は、まずご相談ください(効果には個人差があります)。
【参考|ツボ押しは「続ける」ほど差が出た研究】前掲のHsiehらの試験(2010年)では、1か月のツボ押しを終えた6か月後の追跡でも、筋弛緩薬群との差が保たれていました(p=0.002)。1回で結論を出すのではなく、一定期間続けたうえで判断する視点が示されています。また慢性緊張型頭痛の患者218名を対象とした2022年の試験(Zheng H et al., Neurology, 2022;99(14):e1560-e1569. PubMed)では、8週間で20回の鍼治療(響き=得気を伴う本物の鍼)を受けた群と、得気を避けた浅い鍼の群を比較しました。16週の時点で「月あたりの頭痛日数が半分以下になった人」の割合は本物の鍼 68.2% 対 浅い鍼 48.1%(p<0.001)、頭痛日数の減少は13.1日 対 8.8日(差4.3日)でした。この差は32週後も維持されています(68.2% 対 50%、減少14.0日 対 9.5日)。有害事象は軽度4件のみでした。セルフケアで足りないときに鍼灸という選択肢がある根拠のひとつです。
よくある質問
当院でよく見る来院パターン
鍼灸担当(はり師・きゅう師)として、頭痛でご来院される方に多い経緯をご紹介します。あくまで当院での観察であり、すべての方に当てはまるものではありません。
頭痛でお悩みの方は当院へご相談ください
「ツボを試したが効果が続かない」「月に何度も頭痛が来る」という方は、鍼灸施術という選択肢もあります。福岡市城南区・南区・早良区から多数ご来院いただいています。
ツボ(経穴)の位置・押し方・鍼灸に関する記述を執筆・監修
最終更新日:2026年7月21日
- 厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査の概況」有訴者率の年次推移 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/
- Sakai F, Igarashi H. Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey. Cephalalgia. 1997;17(1):15-22. DOI:10.1046/j.1468-2982.1997.1701015.x
- WHO Regional Office for the Western Pacific. "WHO Standard Acupuncture Point Locations in the Western Pacific Region." 2008. https://iris.who.int/handle/10665/353407
- Hsieh LL, Liou HH, Lee LH, Chen TH, Yen AM. Effect of acupressure and trigger points in treating headache: a randomized controlled trial. The American Journal of Chinese Medicine. 2010;38(1):1-14. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20128040/
- Betts D, Budd S. "Forbidden" acupuncture points in pregnancy. Acupuncture in Medicine. 2011;29(2):137-139. PMID:21444295 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21444295/
- Zheng H, et al. Acupuncture for Patients With Chronic Tension-Type Headache: A Randomized Controlled Trial. Neurology. 2022;99(14):e1560-e1569. PMID:35732505 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35732505/
- Linde K, et al. Acupuncture for tension-type headache. Cochrane Database Syst Rev. 2009. PMID:19160338 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19160338/
- Zhang XR, et al. Siguan points-based acupuncture treatment for migraine: A systematic review with meta-analysis. Complement Ther Clin Pract. 2025. PMID:40907072 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40907072/
- Linde K, et al. Acupuncture for the prevention of episodic migraine. Cochrane Database Syst Rev. 2016. PMID:27351677 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27351677/
- Yu M, et al. Systematic acupuncture explains acupuncture at Baihui (GV20) and Fengchi (GB20) targeting the inflammatory response to regulate migraine. J Tradit Chin Med. 2025;45(3):610-617. PMID:40524299 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40524299/ ※基礎研究(動物実験・ネットワーク薬理学)
頭痛のツボ押しだけでは限界を感じたら、鍼灸でより深く改善できます
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