生理痛 ツボ|三陰交など5つの経穴の位置と押し方・温め方の使い分け
【結論】生理痛のセルフケアでは、「押す場所」と「温める場所」を分けて考えるのが要点です。おへその下(関元・気海)は指で押すより温めるほうが向く場所、足元(三陰交・血海・太衝)は押して使う場所です。【自分でできること】足元の3か所は、指の腹で5秒かけて押す→5秒保つ→5秒かけて戻すを1か所5回、1日1〜2回。お腹は温めたタオルや使い捨てカイロで15〜20分。【受診の目安】妊娠の可能性がある方は押さないでください。また、痛みが年々強くなる・鎮痛薬が効かない・経血量が急に増えた場合は婦人科へご相談ください。
・妊娠の可能性がある方・妊娠中の方は、三陰交をはじめ本ページのツボ押しを行わないでください(妊娠中に避けるとされてきた経穴が含まれます)
・いつもと違う激しい痛み、大量の出血、発熱を伴う下腹部痛
・年々痛みが強くなる、鎮痛薬が効きにくくなってきた
・生理以外のときも下腹部が痛む、性交時に痛む
これらは子宮内膜症・子宮筋腫など、背景に別の原因がある場合のサインとされています。セルフケアで様子をみるより先に、婦人科の受診をご検討ください。
当院は、柔道整復師(国家資格)の院長・河野太朗と、在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)が連携しています。このページは、ご自宅でご自身でできる範囲に絞ってまとめました。
押す場所と温める場所を分ける理由
生理痛のときのお腹は、押されることを不快に感じやすい状態です。下腹部(関元・気海)は指で強く押さず、温めて使うほうが続けやすく、途中でつらくなりにくい方法です。一方、足元の三陰交・血海・太衝は座ったまま押せて、生理中でも姿勢を変えずに行えます。
押し方は、指の腹で垂直に、5秒かけて押す→5秒保つ→5秒かけて戻すを1セット、1か所5回、1日1〜2回。強さは「痛気持ちいい」まで。爪を立てず、息を止めずに行ってください。
場面別・5つの経穴と実数
生理の周期のどこにいるかで、使う場所が変わります。位置はWHO標準経穴部位(2008)に沿っています。
① 冷えを感じるとき/三陰交(さんいんこう・SP6)
位置:内くるぶしの一番高いところに小指を当て、指4本分(人差し指の上端)上がったところ。すねの骨のすぐ後ろ側のふちです。
やり方:座って足を組み、反対の手の親指を当てます。足首から膝に向かう向きに、やや押し上げるように。冷え対策として古くから用いられてきた経穴です。
実数:5秒押す→5秒保つ→5秒戻す ×5回(左右)/1日1〜2回。妊娠の可能性がある方は行わないでください。
② 立ち仕事のあと下腹が重いとき/血海(けっかい・SP10)
位置:膝のお皿の内側の上端から、指3本分上がった太ももの内側。膝を伸ばすと力の入る、盛り上がった筋肉の上です。
やり方:椅子に座って膝を軽く曲げ、親指を当てます。立ち仕事や長時間の外出のあとに下腹が重だるいときに向きます。
実数:5秒→5秒→5秒 ×5回(左右)/1日1〜2回。
③ 生理前のイライラ・張りがあるとき/太衝(たいしょう・LR3)
位置:足の甲。親指と人差し指のあいだを足首側へたどり、2本の骨が合流して止まるくぼみ。
やり方:座って足を手前に引き寄せ、親指を当てて足首の方向へ押し込みます。生理前の張りやいら立ちが強い時期に用いられてきた場所です。
実数:5秒→5秒→5秒 ×5回(左右)/1日1〜2回。
④ 下腹部が重く痛むとき/関元(かんげん・CV4)——温めて使う
位置:おへそから指4本分(人差し指の上端)下がった、体の中心線上。
やり方:指で押さず、温めます。蒸しタオルや低温の使い捨てカイロを衣類の上から当ててください。手のひらを重ねて置くだけでもかまいません。
実数:温め15〜20分/1日2〜3回まで。カイロは肌に直接当てない(低温やけどの防止)。
⑤ 生理初日〜2日目に/気海(きかい・CV6)——温めて使う
位置:おへそから指2本分下がった、体の中心線上。関元より上です。
やり方:関元と同様に温めます。関元と気海は近いため、おへその下を手のひら1枚分まとめて温めると考えると迷いません。
実数:温め15〜20分/1日2〜3回まで。
お腹の温め方(時間・温度の目安)
温めるときは、「熱い」ではなく「じんわり温かい」が目安です。心地よい程度の温度で15〜20分、1日2〜3回まで。以下は避けてください。
- 使い捨てカイロを肌に直接当てる/就寝中に貼ったままにする(低温やけどの原因になります)
- 同じ場所を長時間続けて温める
- 感覚が鈍い部位、皮膚に傷や湿疹がある部位を温める
- 糖尿病などで感覚が鈍くなっている方が自己判断で長時間温める
一覧表
| 経穴(読み) | 使い方 | 場面 | 位置 | 実数 |
|---|---|---|---|---|
| 三陰交(さんいんこう/SP6) | 押す | 冷えを感じるとき | 内くるぶしから指4本分上・すねの骨の後ろ側 | 5秒押す→5秒保つ→5秒戻す×5回/1日1〜2回 |
| 血海(けっかい/SP10) | 押す | 立ち仕事のあと下腹が重い | 膝のお皿の内側上端から指3本分上 | 5秒→5秒→5秒×5回/1日1〜2回 |
| 太衝(たいしょう/LR3) | 押す | 生理前のイライラ・張り | 足の甲・親指と人差し指の骨が合流するくぼみ | 5秒→5秒→5秒×5回/1日1〜2回 |
| 関元(かんげん/CV4) | 温める | 下腹部が重く痛むとき | おへそから指4本分下・体の中心線上 | 15〜20分/1日2〜3回まで |
| 気海(きかい/CV6) | 温める | 生理初日〜2日目に | おへそから指2本分下・体の中心線上 | 15〜20分/1日2〜3回まで |
押してはいけない場面・中止基準
押してはいけない場面
- 妊娠の可能性がある/妊娠中——三陰交をはじめ、妊娠中に避けるとされてきた経穴があります。行わないでください
- いつもと違う激しい痛み・大量の出血・発熱を伴うとき——セルフケアではなく受診してください
- 不妊治療中・婦人科で治療中の方——始める前に担当医にご確認ください
- 下腹部に手術を受けた直後、腹部に傷や湿疹がある部位
- 飲酒後・食後すぐ・発熱時
すぐに中止する基準
- 押したあと痛みが強くなった、出血量が増えた
- 気分が悪くなった、めまいや冷や汗が出た
- 温めた場所が赤くまだらになった(低温やけどのサイン)
- 押した場所にあざができた
中止基準に当てはまった場合や、月経のたびに寝込むほどの痛みが続く場合は、婦人科へご相談ください。
当院で多い「生理痛が重くなる時期」
当院にご来院される方に伺うと、生理痛が重くなりやすい時期として「急に冷え込んだ日が続いたあと」「夏に冷房の効いた場所で長時間過ごしたあと」「睡眠が短い日が続いたあと」を挙げられる方が多くいらっしゃいます。共通しているのは体が冷えた状態が数日続いたあとという点です。
そのため当院では、痛みが出てから対処するだけでなく、生理が始まる数日前から足元(三陰交)を押し、お腹を温めておくという使い方をご案内しています。表で「押す/温める」を分けているのはこのためです。
研究で報告されていること
月経困難症(生理痛)に対する指圧のランダム化比較試験23件を集め、うち20件を統合したメタ解析です。指圧は偽の指圧(プラセボ)より痛みが軽い(平均差 −1.58/95%CI −1.96〜−1.20)、内服薬より軽い(−1.11/95%CI −1.79〜−0.43)、通常のケアより軽い(−1.29/95%CI −1.77〜−0.80)と報告されました。有害事象の報告は2件のみで、いずれも軽微でした。ただし著者らは「現時点のエビデンスの質は低い」と明記し、より厳密で規模の大きい研究が必要としています。(Yu X, Liu B, Li J, Gao Y. Complementary Therapies in Medicine. 2025;95:103272. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41138782/)
薬を使わない8つの方法を比べたネットワークメタ解析(33研究)です。運動・漢方・鍼・アロマ・TENS・局所の温熱・指圧・ヨガのすべてが、プラセボまたは無治療より痛みを減らしたと報告されています。なかでも運動(−3.20)・鍼(−2.90)・局所の温熱(−2.97)が痛みの強さ(VAS)を下げる可能性が高いと示されました。本ページで「お腹は温めて使う」としている根拠のひとつです。著者らは、より大規模で質の高い研究が必要とも述べています。(Li X, Hao X, Liu JH, Huang JP. BMJ Evidence-Based Medicine. 2024;29(3):162-170. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38242565/)
※上記は一般的な情報として紹介するもので、当院の施術効果を保証・断定するものではありません。感じ方には個人差があります。
セルフケアで足りないとき
毎月寝込む、鎮痛薬の量が増えている、年々つらくなっているという場合は、婦人科での検査を優先してください。そのうえで、冷えや骨盤まわりの緊張が関係している場合には鍼灸という選択肢もあります。当院の鍼灸については鍼灸のページを、女性の体調に関するコラムは更年期のコラムもあわせてご覧ください。
よくあるご質問
毎月のつらさ、一人で抱えないでください
「セルフケアを試したが変わらない」「冷えが強い」——押す位置の確認だけでもご相談ください。まず婦人科での検査をおすすめする場合もあります。福岡市城南区・南区・早良区から多数ご来院。月火木金土日祝 9:00〜12:30 / 15:00〜20:00(水曜定休)。
福岡市城南区樋井川2-1-62 マークス城南1F|西鉄バス「長尾公園前」徒歩1分|駐車場4台
- Yu X, Liu B, Li J, Gao Y. "Efficacy and safety of acupressure for primary dysmenorrhea: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials." Complementary Therapies in Medicine. 2025;95:103272. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41138782/
- Li X, Hao X, Liu JH, Huang JP. "Efficacy of non-pharmacological interventions for primary dysmenorrhoea: a systematic review and Bayesian network meta-analysis." BMJ Evidence-Based Medicine. 2024;29(3):162-170. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38242565/
- WHO Regional Office for the Western Pacific. "WHO Standard Acupuncture Point Locations in the Western Pacific Region." 2008. https://iris.who.int/handle/10665/353407
監修:院長 河野太朗(柔道整復師)/経穴・鍼灸の記述:在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)の監修協力
最終更新日:2026年8月12日