冷え性 ツボ|手足の冷えに使う5つの経穴とお灸・温めの実数
【結論】手足の冷えでいちばん多い間違いが、冷えている指先そのものを温めようとすることです。指先は血液が届く「終点」なので、温めるなら手首・足首・膝下という「手前」。指先は温めるのではなく押して動かす——この分担が要点です。【自分でできること】指の間(八邪・八風)を3秒はさんで3秒はなすを1か所10回、手首の甲(陽池)を10秒×3回。温めるのは三陰交と足三里で、お灸なら1か所1〜3壮。三陰交は蒸しタオル40〜42℃で10分、足三里は足湯40〜41℃で10〜15分が目安です。【受診の目安】指が白→紫→赤と色が変わる、片方だけ冷たい、歩くとふくらはぎが痛んで休むと治まる場合は、冷え性ではない病気のサインです。内科・循環器内科にご相談ください。
・指が白→紫→赤と色が変わる(レイノー現象。膠原病が背景にあることがあります)
・片方の手足だけ冷たい・色が悪い、歩くとふくらはぎが痛み、休むと治まる(足の動脈が細くなっているサイン)
・寒がりに加えて、体重増加・むくみ・便秘・強い疲れ(甲状腺のはたらきが落ちていることがあります)
・立ちくらみ・息切れ・爪がもろい(貧血でも冷えを感じます)
これらは温めても押しても変わりません。まず内科で原因をはっきりさせることが先です。また糖尿病の治療を受けている方は、このページのお灸を行わないでください(理由は下記)。
指先を温めても冷えが取れない理由
指先やつま先は、血液が最後にたどり着く終点です。そこだけを熱いお湯やカイロで温めても、送られてくる血液が冷えたままなら、離した瞬間にまた冷たくなります。しかも指先は皮膚が薄く、低温やけどを起こしやすい場所です。そこで当院では温めるのは「手前」(手首・足首・膝下)、指先は「押して動かす」と分けてご案内しています。以下の5つも押す3つと温める2つに分かれます。
押す3つの経穴(手先・足先)
指の間と手首は、服を着たままその場でできます。強く押す必要はなく、はさんで、はなすの繰り返しが要点です。
① 八邪(はちじゃ・EX-UE9)|デスクで、キーボードを打つ手が冷たいとき
位置:手の甲側。親指と人差し指、人差し指と中指……と、指のつけ根の水かきの部分。片手に4か所、両手で8か所あります。
押し方:反対の手の親指と人差し指で水かきをはさみ、3秒はさむ→3秒はなすを1か所10回。両手で2〜3分です。1日2〜3回、手が冷たいと感じたときに行ってください。
② 陽池(ようち・TE4)|外出前、手袋をはめる前に
位置:手首の甲側。薬指と小指の間から手首へまっすぐ下ろし、手首のしわの上で指が落ちるくぼみ。
押し方:反対の手の親指をくぼみに当て、10秒押す→5秒はなすを左右3回ずつ、1日2〜3回。手首を手のひらでぐるりと覆って20秒温めるのも合わせて行えます。手首は血管が浅いところを通るため、「手前を温める」の入口です。
③ 八風(はっぷう・EX-LE10)|入浴後、靴下をはく前に
位置:足の甲側。足の指のつけ根の水かきの部分。片足に4か所、両足で8か所です。
押し方:親指と人差し指で水かきをはさみ、3秒はさむ→3秒はなすを1か所10回、1日1〜2回。足の指を1本ずつつかんで前後に10回動かしてから行うと足の甲がゆるみます。入浴後、足が温まっているうちが行いやすい時間帯です。
温める2つの経穴とお灸の実数
ここからは押すのではなく温める場所です。どちらも足にあり、指先より「手前」にあたります。お灸・蒸しタオル・足湯のいずれでもかまいません。
④ 三陰交(さんいんこう・SP6)|足首から先が冷える日に
位置:内くるぶしのいちばん高いところに小指を当て、指4本ぶん上。すねの骨(脛骨)の後ろ際のくぼみ。
温め方:台座のお灸なら1か所1壮から、1日1回、多くても1か所3壮まで。蒸しタオルなら40〜42℃で10分、1日1〜2回。妊娠の可能性がある方・妊娠中の方は、三陰交を使わないでください。
⑤ 足三里(あしさんり・ST36)|脚全体が冷えて疲れやすい日に
位置:膝のお皿の下・外側のくぼみに人差し指を当て、指4本ぶん下。すねの骨の外側へ指1本分ずらしたところ。
温め方:三陰交と同じく、台座のお灸で1か所1壮から、1日1回、多くても3壮まで。熱いと感じたら我慢せず、その場で外してください。お灸を持っていない方は、40〜41℃の足湯にくるぶしが隠れる深さで10〜15分でも、この高さまで温まります。
市販の台座灸はいちばん弱い温度のものから始めます。1か所1壮を据えて、熱いと感じたらすぐ外す。物足りなければ翌日1壮増やす、という進め方です。1日1回・1か所3壮までを上限にしてください。据えたあとの皮膚が赤くまだらになれば、温めすぎのサインです。
5つの経穴 一覧表
| 役割 | 経穴 | 位置 | やり方・秒数 | 回数 | 1日の頻度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 押す | 八邪(EX-UE9) | 手の甲・指のつけ根の水かき(片手4か所) | 3秒はさむ→3秒はなす | 1か所10回 | 2〜3回 |
| 陽池(TE4) | 手首の甲側・薬指と小指の延長線上のくぼみ | 10秒押す→5秒はなす/手のひらで20秒温める | 左右3回ずつ | 2〜3回 | |
| 八風(EX-LE10) | 足の甲・足指のつけ根の水かき(片足4か所) | 3秒はさむ→3秒はなす | 1か所10回 | 1〜2回(入浴後) | |
| 温める | 三陰交(SP6) | 内くるぶしから指4本上・すねの骨の後ろ際 | 台座灸1壮/蒸しタオル40〜42℃10分 | 1か所1〜3壮まで | 1回 |
| 足三里(ST36) | 膝のお皿の下・外側から指4本下、骨の外側1本分 | 台座灸1壮/足湯40〜41℃10〜15分 | 1か所1〜3壮まで | 1回 |
※位置はWHO西太平洋地域の標準経穴部位に準じます。「指◯本ぶん」は自分の指幅で測定。
やってはいけないこと・中止基準
- 糖尿病の治療を受けている方、足のしびれ・感覚の鈍さがある方は、お灸をしないでください。熱さを感じにくいため、やけどに気づけないことがあります。温めるなら、温度が一定の蒸しタオルを衣類の上から短時間だけにしてください。
- 冷えている指先そのものを、熱いお湯やカイロで直接温めない。指先は皮膚が薄く低温やけどを起こしやすい場所です。温めるのは手首・足首・膝下から。
- 熱いと感じたまま我慢しない。お灸は「熱い」と感じたらその場で外す。我慢して据え続けると、あとから水ぶくれになります。
- 傷・湿疹・かぶれのある場所、感覚が鈍い場所にお灸を据えない。顔や粘膜のそばにも据えないでください。
- カイロを肌に直接貼らない。就寝中に貼ったままにしない。低温やけどのほとんどは、眠っている間に起きています。
- 妊娠の可能性がある方・妊娠中の方は三陰交を使わない。妊娠中に避けるとされてきた経穴です。妊娠中の冷え対策は産婦人科または鍼灸師にご相談ください。
- 片側だけの冷え、皮膚の色の変化を「冷え性」で済ませない。血管の病気のサインであることがあります。
【中止基準】次のいずれかが起きたら、その場でやめてください。
・温めた場所が赤くまだらになった → 低温やけどのサイン。すぐ中止
・お灸のあとに水ぶくれができた → 中止して皮膚科へ
・押している最中にしびれや痛みが出た → 中止
・2〜4週間続けても変化がない → セルフケアにこだわらず内科へ。甲状腺や貧血の検査で原因が見つかることがあります
当院で冷えの相談が増える時期
🔑 当院で手足の冷えのご相談が増えるのは真冬ではなく、冷房が入り始める6月と、朝晩の気温差が出てくる10月です。また、肩こりや腰痛で通われている方の足に触れると、ご本人は冷えを自覚していないのに足首から先だけがはっきり冷たい方が少なくありません。冷えは「寒い季節の話」ではなく、外との気温差がつくられる時期に出やすい、というのが現場での実感です。夏の冷房による不調は冷房病と自律神経の鍼灸もご覧ください。
研究で報告されていること
「冷え性」は日本や韓国で使われてきた考え方で、研究が行われているのは主に鍼・電気鍼です。ご自身の指で押す指圧やお灸のセルフケアについて、同水準の研究はほとんどありません。
手足の冷え(cold hypersensitivity in the hands and feet)と診断された女性72名を、電気鍼・鍼・無治療の3群に分けた比較試験です。電気鍼群と鍼群はどちらも、施術後に手と足のつらさ(VAS)と生活の質(WHOQOL-BREF)が無治療群より改善し、電気鍼群では追跡時点でも足のVASの低下が続きました。ただし著者は、無治療群でも追跡時点でVASが統計的に有意に下がっており、冷えの症状はもともと変動しやすいことを理由として挙げています。
Kwon NY, Yu JS, Kim DI, Kim HJ, Lee DN. PLoS One. 2024;19(11):e0313789. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39536052/
指の色が変わる発作を起こすレイノー症候群について、比較試験6件・計272名をまとめた解析です。鍼は、症状が治まった人の割合(リスク比1.21、95%信頼区間1.10〜1.34)、1日あたりの発作回数(平均差 −0.57、−1.14〜−0.01)で、対照より良い結果が報告されました。ただし著者は「研究の規模が小さく、エビデンスの質は非常に低く、バイアスのリスクが高いため、慎重に解釈すべき」と明記しています。
Zhou F, Huang E, Zheng E, Deng J. Acupuncture in Medicine. 2023;41(2):63-72. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35608095/
現在地は「つらさが軽くなったという報告はあるが、規模が小さく質は高くない」あたりです。当院でもセルフケアは自分で手を打てる範囲を作るものとしてご案内しています。鍼灸メニューもご覧ください。
よくあるご質問
厚着をしても取れない冷えは、一度ご相談ください
「お灸を自分で据えるのが不安」「毎年この時期になると足先が冷たくなる」——確認だけでもかまいません。症状によっては、まず内科での検査をおすすめする場合もあります。福岡市城南区・南区・早良区から多数ご来院。月火木金土日祝 9:00〜12:30 / 15:00〜20:00(水曜定休)。
福岡市城南区樋井川2-1-62 マークス城南1F|西鉄バス「長尾公園前」徒歩1分|駐車場4台
- Kwon NY, Yu JS, Kim DI, Kim HJ, Lee DN. "Effectiveness of electroacupuncture and acupuncture in alleviating cold hypersensitivity in the hands and feet: A randomized controlled trial." PLoS One. 2024;19(11):e0313789. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39536052/
- Zhou F, Huang E, Zheng E, Deng J. "The use of acupuncture in patients with Raynaud's syndrome: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials." Acupuncture in Medicine. 2023;41(2):63-72. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35608095/
- WHO Regional Office for the Western Pacific. "WHO Standard Acupuncture Point Locations in the Western Pacific Region." 2008. https://iris.who.int/handle/10665/353407
監修:院長 河野太朗(柔道整復師)/経穴・鍼灸の記述:在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)の監修協力
最終更新日:2026年8月12日