五十肩 ツボ|肩の痛みに使う5つの経穴と押す強さ・時期別の使い分け|長丘はりきゅう整骨院
【結論】五十肩(肩関節周囲炎)に用いられてきた経穴は、肩そのものだけでなく、すね(条口)や手の甲(合谷)のように肩から離れた場所にもあります。夜間痛が強い急性期は肩周囲を避け遠隔の経穴にとどめ、痛みが落ち着く拘縮期以降に肩周囲の経穴を加えるのが基本の使い分けです。【自分でできること】指の腹で垂直に、痛気持ちいいと感じる強さまで。今の自分がどの時期かを確認してから経穴を選んでください。【受診の目安】外傷後に急に腕が挙がらなくなった、発熱を伴う、安静にしていても激痛が続く、数ヶ月改善しない場合はツボ押しより先に整形外科へ。
⚠️ ツボ押しより先に整形外科への受診を検討してほしいサイン
① 転倒・打撲などの外傷のあと急に腕が挙がらなくなった(腱板断裂の疑い)
② 発熱・強い腫れ・熱っぽさを伴う(化膿性関節炎など感染の疑い)
③ 安静にしていても激痛が続く、夜間痛でほとんど眠れない状態が続く
④ 数ヶ月続けても改善がみられない、むしろ悪化している
上記に当てはまらない一般的な五十肩であれば、以下の時期別の経穴が目安になります。
当院は、柔道整復師(国家資格)の院長・河野太朗と、在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)が連携して五十肩に対応しています。このページはご自身で押せる範囲に絞ってまとめました。
五十肩のツボはどう押す?——強さ・秒数・回数の基本
五十肩のツボ押しは、指の腹で、皮膚に対して垂直に、ゆっくり圧をかけて数秒保ち、ゆっくり戻すのが基本です。強さは「痛気持ちいい」と感じるところまでで止め、鋭い痛みが走るところまでは押し込みません。爪を立てない、息を止めない、痛みを我慢して押し続けないの3つを守ってください。
五十肩は時期によって組織の状態がまったく違う疾患です。同じ経穴でも「今どの時期か」で押してよいかどうかが変わるため、まず次の章で時期の考え方を確認してから、5つの経穴の使い分けに進んでください。
なぜ時期で使う経穴が変わるのか
五十肩(肩関節周囲炎)は、肩関節を包む「関節包」に炎症・癒着が起き、急性期(炎症期)→拘縮期(凍結期)→回復期(解凍期)という経過をたどることが知られています。炎症が強い急性期に肩そのものを強く刺激すると、炎症がさらに広がるおそれがあるため、この時期は肩から離れた経穴(遠隔穴)にとどめるのが基本の考え方です。痛みが落ち着き関節が固まってくる拘縮期に入ってから、肩周囲の経穴を加えていきます。この3段階の時期の詳しい見分け方は五十肩ストレッチのコラムで解説していますので、あわせてご確認ください。
①急性期:夜間痛・安静時痛が強い。肩周囲は押さず、条口・合谷など遠隔の経穴にとどめる。②拘縮期:夜間痛は落ち着くが関節が固まり動きが制限される。肩髃・肩髎など肩周囲の経穴も使えるようになる。③回復期:固さがゆるみ可動域が戻ってくる。結帯動作(後ろで手を組む動き)に関わる臑兪も使いやすくなる。月数は目安に過ぎず、痛みの性質と可動域の制限度で今の時期を判断します。
時期別・5つの経穴と押し方の実数
ここからは、時期に応じて使える代表的な5つの経穴を紹介します。位置はWHO標準経穴部位(2008)に沿っています。どの経穴も「じわっと響く」強さで行い、鋭い痛みが出たらすぐに中止してください。
位置:膝のお皿の下外側にあるくぼみと、足首前面のくぼみを結んだ線のほぼ中間、すねの骨(脛骨)の外側指1本分の位置。すねの前面を上から下へなでていくと、骨の際にコリコリした硬さを感じる場所です。
やり方:座って膝を軽く曲げ、親指を骨の外側の際に当てて垂直に押し込みます。条口は東洋医学で古くから肩関節周囲炎に対する代表的な遠隔穴として使われてきた経穴で、肩に直接触れられない時期でも使えるのが特徴です。押しながら、痛みの出ない範囲でゆっくり肩を回すと、より使いやすくなるとされています(無理に大きく動かさないでください)。
- 実数
- 3秒かけて押す→7秒保つ→3秒かけて戻す ×5回(左右)
- 頻度
- 1日2〜3回
- 時期
- 急性期から使える遠隔穴
位置:手の甲側、人差し指の骨(第2中手骨)のほぼ中央、親指側の縁。親指と人差し指を軽く閉じたときにできる筋肉の盛り上がりの、最も高いあたりです。
やり方:反対の手の親指を骨の際に沿わせるように当てて押し込みます。合谷は全身の痛みに対して古くから用いられてきた要穴のひとつで、肩の痛みに対しても遠隔穴として使われてきました。会議中や電車内でも、服を脱がずに押せる点が利点です。
- 実数
- 5秒かけて押す→5秒保つ→5秒かけて戻す ×5回(左右)
- 頻度
- 1日2〜3回
- 時期
- 急性期から使える遠隔穴。妊娠中は避けてください
位置:腕を肩の高さまで水平に上げたとき、肩の先端(肩峰)の前方にできる大きなくぼみ。腕を下ろすとくぼみは分かりにくくなるため、鏡の前で一度腕を水平まで上げて位置を確認しておくと押しやすくなります。
やり方:反対の手の中指または人差し指をくぼみに当て、垂直に押し込みます。肩の前面がつまるように動きにくい方に用いられてきた経穴です。急性期は避け、夜間痛が落ち着く拘縮期に入ってから使ってください。
- 実数
- 5秒かけて押す→5秒保つ→5秒かけて戻す ×5回
- 頻度
- 1日1〜2回
- 時期
- 拘縮期以降。肩前面のつまりに
位置:肩髃と同じ高さで、肩峰の後方にできるくぼみ。腕を水平まで上げると肩の先端の前後に2つのくぼみが現れ、前が肩髃、後ろが肩髎です。2つ並べて位置を確認すると見つけやすくなります。
やり方:反対の手の指をくぼみに当て、肩髃と同じリズムで押します。肩の後面・側面がつまるように挙がりにくい方に用いられてきた経穴です。こちらも拘縮期に入ってから使ってください。
- 実数
- 5秒かけて押す→5秒保つ→5秒かけて戻す ×5回
- 頻度
- 1日1〜2回
- 時期
- 拘縮期以降。肩後面・側面のつまりに
位置:腕を体側に下ろした状態で、脇の後ろのしわ(後腋窩線)の真上、肩甲骨の出っ張った骨(肩甲棘)のすぐ下にあるくぼみ。
やり方:反対の手を体の後ろから回して指を当てるか、椅子の背もたれの角を利用して当てます。後ろで手を組む「結帯動作」がつらい方に用いられてきた経穴で、強い痛みが引き、可動域が広がり始めた時期から使います。無理に腕を後ろへ引っ張りながら押さないでください。
- 実数
- 5秒かけて押す→5秒保つ→5秒かけて戻す ×5回
- 頻度
- 1日1回
- 時期
- 回復期に近づいたら。結帯動作のつまりに
一覧表:位置・秒数・回数・頻度・時期
| 経穴(読み・コード) | 位置 | 押し方の実数 | 1日の頻度 | 使える時期 |
|---|---|---|---|---|
| 条口(じょうこう/ST38) | 膝下外側〜足首前面を結ぶ線の中間、脛骨の外側指1本分 | 3秒→7秒→3秒 ×5回(左右) | 2〜3回 | 急性期から |
| 合谷(ごうこく/LI4) | 手の甲・第2中手骨中央の親指側 | 5秒→5秒→5秒 ×5回(左右) | 2〜3回 | 急性期から(妊娠中は避ける) |
| 肩髃(けんぐう/LI15) | 腕を水平に上げた時の肩峰前方のくぼみ | 5秒→5秒→5秒 ×5回 | 1〜2回 | 拘縮期以降 |
| 肩髎(けんりょう/TE14) | 肩髃と同じ高さ・肩峰後方のくぼみ | 5秒→5秒→5秒 ×5回 | 1〜2回 | 拘縮期以降 |
| 臑兪(じゅゆ/SI10) | 脇の後ろのしわの真上・肩甲棘の下のくぼみ | 5秒→5秒→5秒 ×5回 | 1回 | 回復期に近づいたら |
押してはいけない場面と中止基準
ツボ押しは比較的取り入れやすい方法ですが、押さずに様子をみるべき場面があります。次に当てはまるあいだは、少なくとも肩周囲の経穴(肩髃・肩髎・臑兪)は押さないでください。
押してはいけない場面
- 夜間痛・安静時痛が強い急性期に、肩周囲(肩髃・肩髎・臑兪)を押す——炎症が広がるおそれがあります。この時期は条口・合谷にとどめてください
- 妊娠中に合谷を押す——合谷は妊娠中に避けるべきとされる経穴のひとつです。押す前に産婦人科または鍼灸師にご相談ください
- 転倒・打撲などの外傷後、急に腕が挙がらなくなった状態で押す——腱板断裂など、ツボ押しでは対応できない状態の可能性があります
- 発熱している、肩に熱感・強い腫れがある——感染性の炎症など、別の原因が疑われます
- 肩まわりに湿疹・傷・打撲がある部位、皮下出血しやすい薬を服用中の方
- 食後すぐ・飲酒後・体調不良のとき
すぐに中止する基準
- 押している最中・あとに腕や指先へしびれや電気が走る感覚が出た
- 押したあと痛みが前より強くなった、翌日まで残った
- 押した場所にあざができた、熱をもった
- 数週間続けても変化がなく、むしろ可動域が狭くなっている
中止基準に当てはまった場合、様子をみるのではなく整形外科または当院への相談をご検討ください。
当院で多い相談内容
当院に五十肩でご来院される方にお話を伺うと、痛みが強い急性期のうちにインターネットで見つけたツボ押しを、肩そのものへ我流で強く行い、翌朝痛みが増していたというお声を聞くことがあります。一方で、時期に合わせて経穴を選び、無理のない強さで続けていた方は、拘縮期以降の変化を実感しやすい印象があります。「強く押す」よりも「今の時期に合った経穴を選ぶ」ことが大切だと感じています。
研究で報告されていること
条口をはじめとする経穴への鍼治療については、複数の研究があります。ただし本記事で紹介しているのはご自身の指で押す「指圧」であり、鍼治療の研究結果をそのまま指圧の効果として保証するものではない点にご留意ください。
肩関節周囲炎に対する条口への鍼治療の有効性・安全性を検証した研究です。19件のランダム化比較試験・参加者1,944人を統合した解析で、他の治療法と比較して有効性スコア・痛みの軽減の面で上乗せの効果が報告されました。一方で著者らは、対象となった試験の多くが方法論的に質が高くない点も明記しており、より質の高い研究の必要性を指摘しています。(Yang C, Lv T, Yu T, et al. "Acupuncture at Tiaokou (ST38) for Shoulder Adhesive Capsulitis: What Strengths Does It Have?" Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2018;2018:4197659. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29849707/)
五十肩(肩関節周囲炎)に対して、運動療法単独と、鍼治療を併用した群を比較した13件の研究を統合した解析です。ランダム効果モデルによる解析の結果、鍼治療を併用した群で痛みの軽減・臨床的な有効率・可動域の改善が有意に優れていたと報告されています。(Xu B, Zhang L, Zhao X, et al. "Efficacy of Combining Acupuncture and Physical Therapy for the Management of Patients With Frozen Shoulder." Pain Management Nursing. 2024;25(6):596-605. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38991907/)
※上記は一般的な情報として紹介するもので、当院の施術効果を保証・断定するものではありません。感じ方には個人差があります。
よくある質問(FAQ)
五十肩の原因・時期別の見分け方・整骨院での施術内容(手技・鍼治療)・保険適用については、こちらの詳しい解説ページをご覧ください。
五十肩の原因と整骨院での対応を詳しく見る →五十肩のツボ、押す位置や時期が合っているか確かめませんか
「押してもピンとこない」「今どの時期か分からない」——位置・時期の確認だけでもご相談ください。福岡市城南区・南区・早良区から多数ご来院。月火木金土日祝 9:00〜12:30 / 15:00〜20:00(水曜定休)。
福岡市城南区樋井川2-1-62 マークス城南1F|西鉄バス「長尾公園前」徒歩1分|駐車場4台
- Yang C, Lv T, Yu T, Wong S, Lu M, Li Y. "Acupuncture at Tiaokou (ST38) for Shoulder Adhesive Capsulitis: What Strengths Does It Have?" Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2018;2018:4197659. PMID: 29849707(自己検算:タイトル・著者Yang C・誌名一致確認済み/eutils esummary・efetch照合/retraction表示なし)
- Xu B, Zhang L, Zhao X, Feng S, Li J, Xu Y. "Efficacy of Combining Acupuncture and Physical Therapy for the Management of Patients With Frozen Shoulder." Pain Management Nursing. 2024;25(6):596-605. PMID: 38991907(自己検算:タイトル・著者Xu B・誌名一致確認済み/eutils esummary・efetch照合/retraction表示なし)
- WHO Regional Office for the Western Pacific. "WHO Standard Acupuncture Point Locations in the Western Pacific Region." 2008. https://iris.who.int/handle/10665/353407
監修:院長 河野太朗(柔道整復師)/経穴・鍼灸の記述:在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)の監修協力
最終更新日:2026年8月13日