ゴルフ肘 ツボ|少海など4つの経穴の位置と押す秒数・回数|長丘はりきゅう整骨院
【結論】ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)に用いられてきた経穴は、肘の内側(少海・小海・曲沢)だけでなく、手首側(内関)のように患部から離れた場所にもあります。少海と小海は読み方が同じ「しょうかい」ですが別の経穴で、特に小海は尺骨神経の通り道(肘部管)に近いため強く押さないことが大切です。【自分でできること】指の腹で、痛気持ちいいと感じる強さまで。小海だけは軽く触れる程度にとどめてください。【受診の目安】小指・薬指のしびれ、安静にしていてもズキズキ痛む、肘の内側の腫れ・熱感がある場合はツボ押しより先に整形外科へ。
⚠️ ツボ押しより先に整形外科への受診を検討してほしいサイン
① 小指・薬指にしびれや違和感がある(尺骨神経の症状=肘部管症候群の疑い)
② 安静にしていてもズキズキと痛む(安静時痛・夜間痛)
③ 肘の内側が腫れている、押さなくても熱をもっている
④ セルフケアを数週間続けても改善がみられない、むしろ悪化している
上記に当てはまらない一般的なゴルフ肘であれば、以下の4つの経穴が目安になります。
当院は、柔道整復師(国家資格)の院長・河野太朗と、在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)が連携してゴルフ肘に対応しています。前腕屈筋群を伸ばすストレッチやリバースタイラーツイストはゴルフ肘ストレッチのコラムで解説していますので、本記事では指で押せる4つの経穴に絞ってまとめました。
ゴルフ肘のツボはどう押す?——強さ・秒数・回数の基本
ゴルフ肘のツボ押しは、指の腹で、皮膚に対して垂直に、ゆっくり圧をかけて数秒保ち、ゆっくり戻すのが基本です。強さは「痛気持ちいい」と感じるところまでで止め、鋭い痛みやビリッとしたしびれが走るところまでは押し込みません。爪を立てない、息を止めない、患部を揉みほぐそうと強くこねないの3つを守ってください。
ゴルフ肘は前腕屈筋群が骨に付着する部分(内側上顆)が炎症を起こしているケガです。さらに、この内側上顆のすぐ後ろには尺骨神経が通っており(肘部管)、経穴によって「筋肉・腱への圧」に近いものと「神経への圧」に近いものが混在しています。次の章で少海と小海の違いを確認してから、4つの経穴に進んでください。
少海と小海の違い——読みが同じ「しょうかい」に注意
少海(HT3)と小海(SI8)は、どちらも読み方が「しょうかい」ですが、経絡も位置もまったく別の経穴です。混同すると押す位置を間違え、思わぬところを強く押してしまうため、まずこの違いを確認してください。
少海(しょうかい):心経に属する経穴。肘を曲げたときにできる肘の内側のしわの、内側の端にあります。上腕二頭筋腱のすぐ内側で、骨の出っ張りよりやや前方(体の正面側)です。
小海(しょうかい):小腸経に属する経穴。少海よりもさらに後ろ側、肘頭(肘を曲げると出っ張る骨)と内側上顆の間のくぼみにあります。ここは尺骨神経の通り道(肘部管)にあたり、4つの経穴の中でもっとも慎重に扱う必要があります。
見分け方の目安として、腕を体の横に下げ、肘を軽く曲げてみてください。肘の内側の「しわ」の上にあるのが少海、肘のうしろの骨と骨の間の「くぼみ」にあるのが小海です。位置に自信が持てない場合は、来院時に確認だけでもご案内できます。
4つの経穴と押し方の実数
ここからは、ゴルフ肘に用いられてきた代表的な4つの経穴を紹介します。位置はWHO標準経穴部位(2008)に沿っています。どの経穴も「じわっと響く」強さで行い、鋭い痛みやしびれが出たらすぐに中止してください。
位置:肘を軽く曲げたときにできる、肘の内側のしわの内側の端。上腕二頭筋腱のすぐ内側で、内側上顆の前方にあたるくぼみです。
やり方:反対の手の親指をくぼみに当て、ゆっくり垂直に押し込みます。この位置の近くには尺骨神経や皮静脈が通っているため、強い圧やグリグリ動かす押し方は避け、「じわっと感じる」程度にとどめてください。
- 実数
- 5秒かけて押す→5秒保つ→5秒かけて戻す ×5回
- 頻度
- 1日1〜2回
- 注意
- 強く揉まない。ズーンとしたしびれ感が出たら圧を弱める
位置:肘を曲げたときにできる、肘頭(肘の出っ張った骨)と内側上顆の間のくぼみ。俗に「ぶつけると小指にビリッと響く場所」がこのあたりで、尺骨神経の通り道(肘部管)にあたります。
やり方:反対の手の指の腹を軽く当てるだけにとどめ、強く押し込まないでください。「痛気持ちいい」を超えて小指・薬指にビリッと響く感覚が出たら、その場で直ちに中止します。4つの経穴の中で唯一、強い圧を前提にしない経穴です。
- 実数
- 軽く3秒当てる→力を抜く ×3回(強い圧はかけない)
- 頻度
- 1日1回まで
- 注意
- しびれ・電気が走る感覚が出たら即中止。強圧・持続圧は禁止
位置:肘を曲げたときにできる肘の内側のしわの上、上腕二頭筋の腱の小指側(尺側)のくぼみ。腕を軽く曲げて力こぶを触ると浮き出る腱の、すぐ内側です。
やり方:反対の手の親指を腱の際に当てて押します。近くを上腕動脈(脈を触れる血管)が通っているため、押す前に脈を感じないか確認し、脈を感じたらその位置を避けて少し小指側にずらしてください。
- 実数
- 5秒かけて押す→5秒保つ→5秒かけて戻す ×5回
- 頻度
- 1日1〜2回
- 注意
- 脈を感じる位置は避ける。強い圧で長く押し続けない
位置:手首の内側(手のひら側)、手首のしわから指幅3本分ひじ寄りの位置。長掌筋腱と橈側手根屈筋腱、2本の腱の間にあります。
やり方:反対の手の親指を2本の腱の間に当てて垂直に押します。肘そのものに触れずに使えるため、肘の内側の腫れ・熱感が強い時期でも取り入れやすく、練習の合間やデスクワーク中でも服の上から押せます。
- 実数
- 5秒かけて押す→5秒保つ→5秒かけて戻す ×5回(左右)
- 頻度
- 1日2〜3回
- 注意
- 手首に強いしびれ・痛みがあるときは無理をしない
一覧表:位置・秒数・回数・頻度
| 経穴(読み・コード) | 位置 | 押し方の実数 | 1日の頻度 | 使い方の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 少海(しょうかい/HT3) | 肘内側のしわの内側の端 | 5秒→5秒→5秒 ×5回 | 1〜2回 | 局所の基本穴。強く揉まない |
| 小海(しょうかい/SI8) | 肘頭と内側上顆の間のくぼみ(肘部管) | 軽く3秒当てる ×3回 | 1回まで | 強く押さない。しびれが出たら即中止 |
| 曲沢(きょくたく/PC3) | 肘内側のしわ・二頭筋腱の尺側 | 5秒→5秒→5秒 ×5回 | 1〜2回 | 脈を感じる位置は避ける |
| 内関(ないかん/PC6) | 手首内側・腱2本の間、しわから指幅3本 | 5秒→5秒→5秒 ×5回(左右) | 2〜3回 | 肘に触れず使える。外出先でも |
押してはいけない場面と中止基準
ツボ押しは取り入れやすいセルフケアですが、押さずに様子をみるべき場面があります。次に当てはまるあいだは、少なくとも小海・少海は押さないでください。
押してはいけない場面
- 小海を強く押す・グリグリ押し込む——肘部管にある尺骨神経を圧迫し、小指・薬指にしびれが響くおそれがあります
- 肘の内側の痛みが強い急性期に、少海・小海を強く押す——炎症や神経への刺激が強まるおそれがあります。この時期は内関にとどめてください
- 曲沢の位置で脈を感じるところを強く押し続ける——上腕動脈の上を圧迫し続けることになります
- 肘の内側に熱感・強い腫れがある
- 肘まわりに湿疹・傷・打撲がある部位、皮下出血しやすい薬を服用中の方
- 食後すぐ・飲酒後・体調不良のとき
すぐに中止する基準
- 押している最中・あとに小指・薬指や手のひらの小指側へしびれ・電気が走る感覚が出た
- 押したあと痛みが前より強くなった、翌日まで残った
- 押した場所にあざができた、熱をもった
- 数週間続けても変化がなく、むしろ小指側の感覚が鈍くなっている
中止基準に当てはまった場合、様子をみるのではなく整形外科または当院への相談をご検討ください。
当院で多い相談内容
当院にゴルフ肘でご来院される方にお話を伺うと、肘の内側の痛みだけでなく、小指や薬指側のしびれを併せて訴える方が一定数いらっしゃいます。しびれを伴う場合は、経穴を押す前に肘部管症候群(尺骨神経の圧迫)の可能性がないかを優先して確認するようにしています。一方で、しびれがなく肘の内側の張りだけを訴える方は、内関のように肘から離れた経穴も無理なく生活に取り入れられている印象があります。
研究で報告されていること
少海・小海・曲沢・内関をはじめとする経穴への鍼治療については、複数の研究があります。ただし本記事で紹介しているのはご自身の指で押す「指圧」であり、鍼治療の研究結果をそのまま指圧の効果として保証するものではない点にご留意ください。
また、ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)そのものと鍼灸を組み合わせた臨床研究は、テニス肘(外側上顆炎)に比べて非常に少ないのが実情です。PubMedで直接検索しても、症例報告以上のまとまった研究の蓄積は見当たりませんでした。そこで以下では、研究の蓄積があるテニス肘(外側上顆炎)の研究を、その旨を明記したうえで参考として紹介します。
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)に対する鍼治療の有効性を検証した研究です。10件のランダム化比較試験・参加者796人を統合した解析で、鍼治療は薬物療法・局所注射(ブロック療法)と比較して臨床的な有効率・痛みの軽減の面で優れていたと報告されました。一方で、偽鍼(シャム鍼)との比較では統計的に有意な差は認められませんでした。著者らは対象となった試験の質が全体的に高くない点も明記しており、より質の高い研究の必要性を指摘しています。(Zhou Y, Guo Y, Zhou R, et al. "Effectiveness of Acupuncture for Lateral Epicondylitis: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials." Pain Research and Management. 2020;2020:8506591. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32318130/)
テニス肘に対する鍼灸処方を対象に、どの経穴がどれくらいの頻度で使われているかを分析した研究です。42件の臨床文献を分析した結果、もっとも高頻度で使われていた経穴はアシ点(阿是穴/圧痛点)に次いで曲池・手三里・合谷であり、患部に近い経穴と患部から離れた経穴を組み合わせる考え方に沿う結果と読むこともできます(この解釈は本記事によるもので、論文自体が述べている結論ではありません)。曲沢・内関はこの研究の直接の対象ではありませんが、「局所の経穴と遠隔の経穴を組み合わせる」という考え方は本記事の経穴選定でも参考にしています。(Xu Y, Chen M, Dong Y, et al. "Data Mining of Acupuncture Prescriptions for Lateral Epicondylitis: A Literature-Based Analysis of Acupoint Patterns and Parameters." Journal of Pain Research. 2026;19:583466. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41938221/)
※上記2件はテニス肘(外側上顆炎)を対象とした研究であり、ゴルフ肘(内側上顆炎)そのものを対象とした研究ではありません。同じ「上顆炎」というケガの型ですが、患部が肘の内側か外側かという違いがある点にご留意のうえ、参考情報としてご覧ください。当院の施術効果を保証・断定するものではなく、感じ方には個人差があります。
よくある質問(FAQ)
ゴルフ肘の原因・整骨院での施術内容(ハイボルト電気治療・鍼治療・テーピング)・肘部管症候群との見分け方については、こちらの詳しい解説ページをご覧ください。
ゴルフ肘の原因と整骨院での対応を詳しく見る →ゴルフ肘のツボ、しびれがあるかどうかも含めて確かめませんか
「押す位置が合っているか分からない」「しびれがあるけど大丈夫か不安」——確認だけでもご相談ください。福岡市城南区・南区・早良区から多数ご来院。月火木金土日祝 9:00〜12:30 / 15:00〜20:00(水曜定休)。
福岡市城南区樋井川2-1-62 マークス城南1F|西鉄バス「長尾公園前」徒歩1分|駐車場4台
- Zhou Y, Guo Y, Zhou R, Wu P, Liang F, Yang Z. "Effectiveness of Acupuncture for Lateral Epicondylitis: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials."(テニス肘=外側上顆炎の研究) Pain Research and Management. 2020;2020:8506591. PMID: 32318130(自己検算:eutils esummaryでタイトル・著者Zhou Y・誌名一致確認済み。retraction表示なし/2022年に図表の訂正〈Corrigendum, PMID 35222769〉あり)
- Xu Y, Chen M, Dong Y, Wang F, Lai Q, Ye Y, Huang J, Xu Y, Shi M, Zhan Q. "Data Mining of Acupuncture Prescriptions for Lateral Epicondylitis: A Literature-Based Analysis of Acupoint Patterns and Parameters."(テニス肘=外側上顆炎の研究) Journal of Pain Research. 2026;19:583466. PMID: 41938221(自己検算:eutils esummaryでタイトル・著者Xu Y・誌名一致確認済み。retraction表示なし)
- WHO Regional Office for the Western Pacific. "WHO Standard Acupuncture Point Locations in the Western Pacific Region." 2008. https://iris.who.int/handle/10665/353407
監修:院長 河野太朗(柔道整復師)/経穴・鍼灸の記述:在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)の監修協力
最終更新日:2026年8月14日